
失恋が生み出すネガティブな感情
「失恋」とは、恋を失うこと。恋愛関係が解消されること。
別れの一種ではあるけれど、“自分の意志とは反して恋や恋愛関係が終わる”ということ。
誰にとっても失恋は辛く、苦しいものです。
自分は付き合いたいと思っていたのに、相手に恋人がいることが分かった。
自分は別れるつもりがなかったのに、相手から振られた。
この、“自分の意志とは反して”という点が、失恋のつらさを生み出す原因です。
自分が大切にしてきたものが失われる、喪失感。
これまで温め、作り上げてきた関係が崩れる、虚無感。
相手から必要とされなかったという、自己否定感。
これらがないまぜになり、自信や夢が失われ、「もうなにもかもダメだ」という気分を高めていきます。
そして、「もう相手を想ってもどうしようもない」「好きになってはいけない」という制約も、気持ちにのしかかってきます。
失恋と、物が無くなったときの感覚の違い
失恋というのは、大切な人やペットとの死別に似ている部分があります。
一方で、持っていた物が無くなったり壊されたりするのとは、働く感情が違います。
この差はきっと、
その相手や対象が、この世の中に“たったひとつの存在”であるかどうか
の違いなのだと思います。
顔立ちが似ている人や、同じ種類のネコやイヌはたくさんいます。
そのように似たような存在がいたとしても、その人にとって大切なのは、その人やペットと言う、たったひとつの存在です。
一方の物の場合、無くなったり壊れたりしたときのショックは大きいですが、まったく同じものや代用品を比較的手に入れやすいことが多いと思います。
当たり前ではありますが、“たったひとつの存在”を失うと、それを手に入れることができません。
だからこそそのショックや悲しみは、深く長く気持ちを覆ってしまいます。
失恋の場合さらに厄介なことに、“たったひとつの存在”は自分の前からはいなくなるけれど、他のどこかでは存在している、という点です。(死別を除けば)
だからショックや悲しみと同時に、「まだ復縁できるんじゃないか」といった未練が生まれてしまいます。
これは失恋特有のつらい後遺症です。
振った側もつらいことがある

振られた側がつらいのは当然として、振った側もつらくなる別れというものもあります。
それは、好きだったはずの相手がだんだんそうではなくなっていくことへの虚無感や、なぜそのような感情になってしまったのかがわからない不快感、別れを告げることで相手を傷つけてしまうという罪悪感に押しつぶされそうになることから生まれるつらさです。
振られた側からすれば、そんなことは知ったことじゃないということだと思いますが、真面目な人であればあるほど自分の身勝手さを責める反面、好きではなくなってしまった相手の時間や気持ちを奪い続けてしまうことへの罪悪感なども抱えてしまうものです。
失恋というのは双方にとって、多大なダメージを与えるものです。
失恋のつらさに違いはあるのか
とある精神科医のコラムには、男性と女性とで辛さを感じるタイミングに違いがあるようだ、と書かれていました。
女性は直後~1カ月くらいの間に喪失感やつらい気持ちのピークを迎えることが多く、男性は3カ月後や半年後など時間が経過してから、不意に感情のピークを迎えることが多いのだとか。
また、年齢を重ねると上手に自分の気持ちと付き合えるようになる人がいる一方で、感情をごまかすことがうまくなり、つらさや悲しみといった気持ちに浸りにくくなってしまう人もいるようです。
これは「生活に支障を出さないように」という気持ちと、自分自身がつらい気持ちと向き合いたくないために起こる対症療法的な変化。
人生の経験値によって、失恋から受けるつらさは変わっていくのですね。